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color of red




話ではなく、ただの翔ちゃんの独り言。



さらっと、お楽しみください。


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


いつのころからか、
俺の色は赤となってしまってた。

赤の色のイメージ、
情熱、冒険。
やっぱり俺の色だよね。

他のメンバーが、赤?

考えられないし。







情熱の赤。

コンサートのとき、赤い色のものを身につけて、
俺だけを見てくれてる俺担当のファンの子たち。

俺の視線の行方を追って、
ファンサービスを、
お手振りをもらおうと
俺の名前を書いたうちわを振ってる、きらきらした瞳。
真っ赤な頬。


大好きな色。




ハワイのホテルで、
潮風に当たりたいとベランダに出た雅紀の後を追って見た夕焼け。

空に厚く層になってる雲は
もう夜の闇に染まっているのに、
海の上に残る最後の空は、
陳腐な言葉だけれど、燃えているように
正しく、
太陽の炎をそのままこの空に移したかのような赤だった。

ベランダの手すりを握りしめ、
太陽の欠片を受け、頬を赤く染めて、空を見つめる雅紀の横顔。
赤く輝く瞳を見つめていると
彼はそっと手を伸ばして、隣にあった俺の手を握った。

俺達は言葉もなく
紅蓮の炎が消え尽きていく空を見つめていた。

あの日の潮風の香り
力強い彼の指が絡むぬくもり、ハワイでの小さな思い出。

「時間だよ」
松潤の声がして、俺達は我に返ったんだ。

あの夕陽の赤は、この地球上で一番美しい赤。
大好きな色


ん。。
違うな。

地球上で一番大好きで、美しいと思う赤は
リンゴの赤だな。


red1



あの若かりし日、俺が賭けをしたリンゴ。

エデンの園の禁断の実

蛇がイブをそそのかして食べさせた、善悪と智慧の木の実。

俺は雅紀を好きになってしまったときに、その実を食べた。
つまり
もう、善悪も智慧も雅紀の為なら、捨てても。。。
いや、『禁断の恋を自覚して苦しんでもいい』と覚悟して彼を愛することを決めた。

でも、雅紀の気持ちは。。。

全くわかんなかった。

俺の事を「翔ちゃん」と慕ってくれるし、
彼が俺を見る視線がメンバーとは違う気がしていた。
『自意識過剰かも』と何度頭を抱えたことか。
そんな毎日に嫌気が指して

俺はその夜、
雅紀が俺の部屋に遊びに来るか、
そして
リンゴを食べるかどうか。

もし、彼が食べると言うなら、告白しようと賭けをした。

彼が受け入れてくれたなら。

俺達は「友達」「メンバー」という楽園から追放され
愛すれば愛するほど苦しくなる失楽園へ堕ちるけれど

雅紀がいたら、どんな場所でも幸せになれる自信があったから。。。

red3

決心した日


仕事が終わると、
野球帽を被って帰り支度を始めた彼を誘った。
「あ、ごめん、今日はニノと飲みに行くんだ。翔ちゃんも来る?」
その返事に、俺はがっくり肩を落とした。
「いや、今日は止めとく」

後で雅紀が言うには、あのときの俺の顔があまりにも酷くて
ニノと飲んでても気になってしまって、
飲み会の途中で嘘を付いて俺の部屋に来たんだそうだ。

ドアの向こうに、赤い野球帽を深々と被った雅紀が立ってたときの衝撃。

「俺がドアを開けたときの翔ちゃんの顔。それもまた酷かったよ」

その次の日の朝、
輝く光の中で、まだ眠そうな目をしてる彼の真っ赤な唇に
『おはよう』と口づけをしたら、
頬をぽっと染めてから、朝の熱い体を俺に絡みつけて話してくれた。
今となっては笑い話だけれど。



あの賭けをした夜。
二人分のコカコーラをコンビニで買って来てくれた雅紀に

「リンゴ、食う?」
俺は唐突に尋ねた。
「腹一杯だし」
当たり前の返事。

このとき、心の底からほっとした。
彼が受け入れてくれたときのことばかりを考えて、
もし断られたら。。。なんて考えてなかった。

告白して、断わられたら
こうして、気楽に誘って遊びに来てもらえなくなる。
誰の目も気にせず、ふざけて抱きつくこともできなくなる

だって、一度禁断の実を食べてしまったら、
忘れてくれと言ったって、そこには戻れない。



これでよかったんだ。。。。

テーブルに並べてあったリンゴをじっと眺めてる雅紀。

「このリンゴ、綺麗な色だね。まっかっか」

「持って帰れよ」

「うん。ありがとう」

「ほら」
手を伸ばし、テーブルの上のリンゴを取って、
隣に座る雅紀にぽんと投げると、赤い実が弧を描いて彼の大きな手に収まる。

持って帰るなら、禁断の実じゃない。
『齧ってないから』今日は告白しない。
でもその横で、
雅紀はリンゴを袖でごしごしと磨いて

「甘そうなんだよね、ちょっと味見。。。」


「かぷり」
しゃりしゃりと軽い音が部屋に響く。

「あ。。。」

「甘ーい、こんな甘いリンゴ、初めて食べたよ」
ごくりと飲み込んだ彼が、もう一口かぶりつこうと口を開けた。

「。。。なんで」
さーっと俺の頭から血が引いた。

「なに?」
きょとんとした彼の顔。俺は手を膝に置いて肩を落とし、雅紀は下から覗き込んできた。

食わねぇんじゃなかったのかよ。。。。



上も下もぽってり厚くて、いつもほんのり開いてる彼の唇が
今日は特別赤く見えて、
彼がまだ手にしてるリンゴと同じ色をしてた。


かじられた部分のリンゴの白さが俺に「負けたよ」と言ってるみたいで
動悸が激しくなって。。。

さっき引いた血が逆流し、今度は顔が熱くなるのを感じる。
雅紀は不安な顔をして
「翔ちゃん、リンゴ食べちゃダメだったの?」と尋ねた。

ごくり。
乾いた喉にツバを飲み込む
「ううん」
「じゃぁ、どうしたの」

「雅紀がリンゴを食べたら。。。」

「うん。。食べたら?」

「おまえに告白するって決めてたんだ」
覚悟を決めて男らしく吐き出してから

「雅紀が。。。好き。メンバーとしてじゃなくて、恋してた」
そう大きな声を出した。

「え。。っと、それって。。。」
大きな目をぱちっと瞬きした彼。

「付き合ってください」
頭を下げた。



「。。。冗談?じゃないよね」
この彼の言葉に、弱気になる。
『ここで冗談だと言えば戻れるよ』
卑怯な俺が囁く。
でも、ちゃんと伝える、そう決めたんだ。

「冗談でこんなこと言えるか」

顔を上げて彼の顔を見ると、今度は彼の頬が赤くなってた。
さらさらの髪が額を隠してると、幼く見える彼の顔が歪む。

俺が禁断の果実をかじった罪。
いや、彼に恋をしてしまった罪。
その罪に彼を巻き込んでしまったんだ。
酷い事をしてしまったのかもしれない。

消えてしまいたい。。。

もうあの無邪気な場所には戻れないと、見えない楽園を仰いだ。


「お願いします」
彼が急におかしなことを言った。

「なにを?」
なにをお願い?このまま消えろってこと?
俺は首を傾げた。

「へ?なにが、なにを?」
今度は雅紀が首を傾げてる。

「なに?」

「なにをって。。。俺、翔ちゃんに付き合ってって言われたんだよね」
彼は目を細めて、怖い顔をした。

「そう」もう訳がわかんない。


「あーもうっ。翔ちゃんは。。。だから、お願いします」


そう言って、雅紀の手が俺の肩を掴み
小指から順番に力を入れると、俺を引き寄せ
ぼうっと開いたままの唇に、彼の赤々と熟した唇が軽く触れた。

その後
彼は「俺もずっと好きだった」と耳元で囁く。
あのとき、耳を掠めた吐息は、今でも身体を熱くする。


そして、熱く二人の視線が絡んだ後の
禁断の味がする彼の唇は、
もう自分はどうなってもいいと思わせた。

狂うってこんなことなのかも。。。
なんて、冷静さは一瞬で消え

真っ赤な灼熱地獄に突き落とされ
燃え上がる妖艶な炎に巻き込まれて
己を失い
俺たちは、一つになった。

あの初めての夜の
艶やかに濡れた、熟した唇。
熱い声を上げてる朱色の口。
はぁはぁと呼吸する度に昂揚して、色濃く紅潮していく彼の頬。


そして、翌朝うっ血してた俺の肩。
彼の大きな指の痕、やっぱ男だものな。

彼の悦びの印。
楽園を追放された印。

あの日の赤は、二人の想いが混ざった濃い緋色。
俺の運命の色。


red2



いや。。。



でも、
今、ここにいる彼の目の色も。。。
捨てがたいんだよ。





雅紀にとって、この花粉の季節は大変だけど
俺には、かわいくて



「じょーちゃん、ぐしゅっ」

何も言わずに潤いティッシュを差し出してやる。

「あでがど」


「ぐしゅぐしゅ」


鼻も赤くて、
涙をうるうるさせてる目。

かわいそうだけど、薬が効いてくるまではなんにもしてやれない。

俺の愛の力を持ってしても
これだけは
どうしようもなんないんだよなあ。

そして薬を飲むと彼は俺の膝枕で眠る。

俺の側に居るとよく眠れるのだそうだ。



俺は彼のさらさらの髪をおでこから流すように撫でる。
艶やかな髪は、撫で付けたその先からまた彼の額に戻り
それをバネのおもちゃのように何度も何度も繰り返す。

俺の手の動きに、喉を鳴らしそうな顔で目を細めてうっとりしてる雅紀。
彼の美しい造りの顔を眺めてると
つい見惚れてしまって、手が止まってた。

俺の動きが止まったのを感じ、
彼は黒い瞳を潤ませて大きく開き、俺を見上げた。
でも、いつもは透き通るような白目の部分が赤い。

「もう目を掻いちゃダメだよ」
「うん。。。」
子供のように無邪気に頷く。
「明日には治ってますように」と小さく呟いて、
彼の瞼に唇を落とした。


花粉症の酷い時は、俺んちにやってくる彼。
だから、

彼の目が赤いのも俺には幸せな期間。

ちょっと変な赤だけど。


red4




ファンの人のうちわ。

夕焼け
リンゴ
血の色
昂揚してる彼の頬


充血した彼の目



そして、

薬のせいで、もう寝息を零す真っ赤な彼の唇の色





全部、俺の好きな色。




赤。





俺の色。









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テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

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