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鼓動

大宮なのか
櫻葉なのか
磁石なのか



お好きなカップリングで読んで頂けるかしら。




あるうららかな春の日、腐おばさんは話を思いつきました。

が、どう進めればいいのかわからず、頭の中で悩んでいました。

とりあえず書き始めようと闇雲に書いてみました。
書き始めても、それが誰の話なのかわからなくなってしまいました。

そこで、

「もういい!いっそのこと、どのカップリングでも妄想出来るように書いてみよう」

と、
ずるい書き方をしてみました。


というわけで。。。



どうでしょうねえ。





☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*




どさっ

ドドドドド

「はっ はっ」

200メートルを全力疾走したように、崩れ落ちた二人の身体。
汗だけが互いの身体の間にあるのみ
遮るものはなにもない。

「はぁ、はぁ」

彼が大きなリズムで呼吸をする。

俺の身体の中に吐き出したものを取り戻そうと
酸素を身体の奥まで染み渡らせてる。

だって俺の上であんな乱暴に動いてたんだもん。

ドクドクドクドク

鼓動もリズムを付け始めてる。




そういえば

あの瞬間。。。
繋がった部分にしか、感覚がなくなったあの瞬間。

彼の動きが止まって、
ソレだけが生を持ってたあの一瞬は、彼の鼓動が止まってしまったようだった。

そして、
彼に激しく揺らされ、強烈なかい///かんで
全身が硬直した俺も、ほんの一瞬心臓が止まってたはず。。。

そして、その一瞬を取り戻そうと激しく動いてる二人の心臓。





耳を澄まし、胸で鼓動を感じようと、
だるい腕を彼の身体に回し、力を入れ抱きしめた。

ドンドンドンドン

同じ速さで胸が波打ってる。

汗でぬめる彼の背中に手のひらを広げ、落ち着かせようと撫でる。
俺のゆったりした手の動きに
俺も彼も
「はぁっ」
同時に大きくため息を付いた。

まだ湿ったままでは冷えてしまう夜。
彼が足元に丸まったシーツを引っ張り上げて
二人の身体を覆う。

身体を包むのが冷たい空気から、柔らかなシーツに変わると
二人の身体が緩み徐々に力が抜けて行く。

シーツに籠る空気が温まって来ると、
二人共、無意識に目を閉じてしまっていた。

今日一日の疲れに逆らえずに、この身体をとろりと熱い彼に滲み込ませる。

薄い布の中に閉ざされた空間で、重なる胸に感じる彼の鼓動


ドクンドクン

もうどっちがどっちの音なのかわからない。

互いの鼓動に共鳴してるみたい。






ずっと、同じリズム。
俺も彼も同じ速さの鼓動。。。



もしかして人間って、鼓動の数が決まってるのかも。

その決められた鼓動の回数を打ち終えた時が、運命の終わり



だって、毎日昼も夜も心臓の動きを数えてる人なんかないから
この世に早くさようならをしてしまう人は
きっと、気がついてない時に、人よりたくさん心臓が動いてるんだ。
長命の人は、心臓も時々休憩してるのかも。



彼の方が早く産まれてるけれど
小さな頃、スポーツ大好きだった俺は、きっと彼と同じ鼓動の数になって

嵐になった。

あれが運命の瞬間。


あの日から
俺達は同じ鼓動の速さで時を刻む。

彼の身体が重くなってきた。
いつの間にか、彼が俺の身体の上で眠ってしまったようで、力ない彼の体重を感じる
そんな今だって。。。

どっくん、どっくん、どっくん


同じ。




うれしいときも
はしゃいでしまうときも
静かにしてるときも


互いの愛を確かめるときも

同じ鼓動の速さで生きて行けたらいいよな。。。


ふぁーっ


変な事を考えてたら眠くなってきた。

すーすーと静かな寝息が聞こえ、
彼の心臓も、

ドッ。。。クン

ドッ。。。クン

大きく動き、彼の身体の隅々にまで生きてる証を送り込む。


彼の力強い鼓動のリズムに誘われ、ぼんやりしてると、
大きな波が彼方からやってきて、
俺はあっと言う間に攫われ、暖かい海の底に沈んで行った。


彼の身体を抱きしめたまま。。。
深くて、暗い場所に落ちていく。。。



ドッ。。。クン


ドッ。。。クン





ドッ。。。。。クン






ドッ。。。。。クン









かちり


かちり


たくさんの計数カウンターが並ぶ中。
2つ並んだカウンターが

同じリズムでゆっくり数を数え上げている。


同じ数字を
同じリズムで



かちり



かちり



かちり



かちり












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テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

邪道な願望小説 智

人生で初めて、男女でお話を書いてみました。

相手はおおちゃん。

女の、女による、女のための妄想♡


みなさんがどきどきして
きゅんとしてくれるといいなあ。






☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*



「寒い。。」

ごうっと吹いた空調の音と、肌を撫でた冷たい風に
両腕で身体を抱きしめた。
あれ?

恐る恐る片目を開けて足元を見る。

あ。。。きてない。。。

目の前にある安っぽい花柄のクロスに、ここがホテルだと思うと
昨日の夜の自分の行動を、まず思い出そうと目を閉じた。

背中に人の気配がして、振り返りたいけれど
どんな人がいても、上手に対応出来る心の準備と、言い訳と
もしかして、怖い人だったら、逃げる準備もしないと。

落ち着け私
色んな修羅場をくぐり抜けて来たんだから
今回もなんとかなる。

えーっと、居酒屋でみんなで飲んで、
飲み足りなくて最後に飲んでたバーで。。
あ、あの子。

20代?30代?

猫背でスツールから落ちそうになって飲んでた彼。
隣に座って、なぜか彼と意気投合して飲んで。。。

今、ホテル。。。ってことは。。。
二人共酔ってたからなあ。

そうっと身体を反転させた。
苦しい夢でも見てるのかきりりとした眉を引き寄せ、
小さな口元は力なく閉じられてる。
かわいいとろんとした目が見えないと、
びっくりするほど男前の整った顔
やっぱり、彼だったか。

彼でよかった。。。といえばよかった。

細くて、骨張ってるのに、肩や腕には筋肉が浮かぶ身体。
昨夜の熱さがまだ身体の中にあるようで、おへその奥がずきんとした。

彼の顔をじっと見てると、彼の口元が小さな記憶の点となって
それが繋がり、とぎれとぎれに浮かび始めた。
でも、何か。。。
あ。。。
彼の側にぼろ雑巾のように丸められてるスカーフを見て
何をしたのか、されたのか、映画の映像のように一気に蘇った。




ベッドになだれ込んで、ふざけながら互いの服を引っ張りあっていたときは
酔った垂れ目の周りを真っ赤にしながら笑ってたのに
私の最後の一枚を引きはがした瞬間に彼は表情を変えた。
酔いも醒めて来たからだろう。

まるで恐怖の瞬間が目の前に迫ってるかのような
怯えた顔で「誰にも言わないよね」と尋ねる。

秘密を抱えた子供のような顔。
可哀想。。。なんて、女の前で何も纏ってない男に言うのも変だけど。。。
きっと彼にも事情があるんだろうと
「私はね、言いふらすような年齢でもないし、君のような子を取って食わないから」
と笑ってあげると
彼は「初めて逢ったときからそう思ってた」と目を細めて微笑み返してくれた。

彼にそんな風に思われてたのかと思うと
彼も見る目があるじゃんとうれしくなって。

「君も誰にも言えないようにしてあげる」

まだ力のないカレに手を伸ばした。
「ん。。」
整った顔が歪み、瞼を閉じた、私の奥が疼く。
男の苦しむ顔は女の最高の潤滑剤。
こんな力強い生き物を苦しめてるのが自分だと言う優越感からなのかな。

彼がすーっと歯の間から息を吸ってから、瞼を開けた。
その濁ったもののない美しい瞳にじっと見つめられると、
こんなことをしてる自分が悪い人間になってしまったようで。。。
その後の行為を躊躇ってしまい、手を引っ込めてしまった。

そんな私の手を掴んで『なんで逃げるの?』と自分に当てようとする彼。
「何をしてくれるの?」
彼が強請るように首を傾げた。
かわいすぎ。。。
「うん。。。」思わず目を逸らしてしまう
「ん?」
顔を覗き込まれると、またダメ。。。
私とした事が。。。赤面してしまいそう。

「じゃあさ」
私は彼の手を振りほどき、脱ぎ捨てた服に絡まってるスカーフを取り出した。

私は先週、春だし、いいこともないし、
自分にご褒美だと高級なブランドの最新作のスカーフを買った。
それを初めて使った今日、職場の若い女の子達の視線がそのスカーフに止まってた。
あの子達、仕事に関してはなんにも気がつかないのに
こういうことだけは目敏い。
あなた達には買えないし、男に貢がせたとしても、似合わないわよと
背筋を伸ばして見せつける。
大人の自分を、もう一つかっこよく仕上げてくれる柄。

彼が首を傾げてきょとんとしてる。
冷えたシルクが、しゅるっと私の手の中で音を立て、
「君の目を見てると、なんにも出来なくなるから目隠しさせて?」
両手でスカーフをぴんと張って、彼の目の前で紐のようにした。

「目隠し?」
「そう」

「はーっ」とため息を付いた彼が
『おねえさんなら大丈夫か』と小さく呟いたのが聞こえた。

「何言ってんの、こんなとこまで連れて来て、そんな格好して」
そう言って、彼の細い首に腕を回し彼を引き寄せた。
彼の身体が傾き、両手を私の脇に付くと
彼の肩の筋肉が盛り上がって、そうっと唇を重ねてくれた。

リップを塗っているわけでもないのに、とても柔らかい彼の唇は
最近は強引な口づけしかされていない私には優しすぎて。。。
昔の彼を思い出させた。
ちょっと甘いお酒の匂いがするのも、昔の彼みたい。


部屋の光を背中で遮って、
私を微笑んで見下ろしてる彼の瞳に動悸が激しくなり、
慌てて「じゃ、目隠しするよ」
握っていたスカーフで隠すようにして言った。

「わかったよ」
彼が腕に力を入れ、ベッドの隣に仰向けに寝転がる。
「従順でいいじゃん」
白が青にも見えるほど透き通った目が瞼の後ろに隠れ、私はそこにスカーフを当てた。
頭を上げてくれた彼の頭の後ろで、しゅるしゅると音を立てて結び目を作る。
「痛くない?」
「うん」

スカーフの柄で彼の垂れ目が見えなくなると、
彼がぐんと大人っぽく見えた。
彼は一体いくつなんだろう。

私は彼の身体の横に正座を崩して座り、視界を失ってる彼を見下ろした。
これで、あの視線に戸惑う事もなく彼を味わえる。
あんなかわいい瞳で見つめられたら、罪悪感しかないもの。

「どこにいる?」
彼が腕を上げ、私が居る方に手を伸ばした。
でも、場所を少し離して座ってるから、彼の指は宙を掻く。
細くて、綺麗な指が、私の視線の前で舞う。

そうなんだよね。
グラスを持つ、彼の繊細な指を見たときから
この指に触れられてみたいって、珍しく理性が無くなっちゃってたんだ。
酔っぱらう前のこと。

今その指が私を求めてる。

私は手を伸ばして彼の手首を掴んだ。
「ここにいた。。」
彼の頬が安心したように緩んだ。
でも、私は何も言わずに彼の指を自分の口元に運ぶ。
彼の軽く握った指を唇でそっと開き
人差し指を自分の唇の中に押し込んだ。

「ん。。。はぁっ」
触れてもいない、カレがぴくんと動く。
指を舌で玩ぶと、それに反応するようにカレが持ち上がってきた。
今度は中指も一緒に。。

彼の頬が紅潮してるのがかわいくて、手首を握ったまま
「何?何を考えてるの?」
からかってやった。
「。。。」
何も言わずに、唇が見えなくなるほど口元に力を入れた彼。
「言わなくてもいいよ、言葉攻めにする趣味はないし、同じ事を考えてるんだから」
私は身体を持ち上げ、彼の腿に座り、身体を曲げ。。。
猛々しいものに、指と同じように舌をからめた。

頭で考えなくても、男の喜ぶことは知ってるし、
勝手に身体が動く。
顔で、口で、舌で、手で、指で、唇で。。。。
男を奈落の底へ突き落とせる。


彼は私の頭を両手で掴み自分に押し付ける。
視界もなく、どこに力を入れていいのかもわからず、
私の頭だけがこの世の彼の頼りのように。。。

「はぁっ。。。はぁはぁ」
彼はかわいく震えて、私に熱を吐き出した。
激しい呼吸をしながら、彼はぐったりと無防備に私に全てを晒す。
守ってあげたくなる子だよね。
母性本能ってこんなものなのかと
変なことを考えながら、彼の横に座り直して彼を見下ろしていた。

「もう外していいよね」
普通に呼吸出来るようになった彼がスカーフを指差す。

「ダメだよ。今夜は君はこのまま」
彼の頭を撫で、乱れた髪を整えてやる。
すると、彼はいきなり力強く私の腕を掴んだ。
彼の指が、私の細い手首を白くさせてる。

「なに?」尋ねると
彼が腕に筋肉を浮かばせ、私を力一杯引き寄せた。

倒れそうになってよろりと彼の胸に手をついて、身体を支える。
「なに?びっくりするじゃん」
身体を元に戻そうと足を動かすと、
彼の反対の手が私の腿を見つけ、さっきの優しさは消えてしまったように
強引に私の花弁の奥深く。。。に触れた。

「ん。。。」
「強がってるけど、こんなになってる」
口元が片方だけ上がった。
彼もこんなイヤらしい顔をするんだ。。。

「だって、君がこんな。。」
「今度は俺の番でしょ」
彼が横になったまま、スカーフの結び目に手を当てようとした。
「ちょっと待って」
だって、彼の目に見つめられてしまうとまた乙女な自分になってしまう。

「スカーフはそのままで、ね」
そう言ったけれど、「そんなのずるいよ」と彼が唇をかわいく突き出してる。
私は彼のまんまるな頬に手を当て、拗ねてる唇に自分のを重ねた。

「私に任せてね」
そう耳もとで囁くと
彼が諦めたように力を抜き、小さく頷く。
私は彼の身体に覆いかぶさった。

若い彼はもう元気になってる。
私はそれを見ると、つい笑みが溢れた。
きっと今の私はイヤらしい顔だろう。
でもね、女だって、欲はあるもの。


仰向けのままの彼の上にまたがって座り、
私の一番熱い場所に、求めてたソレを当てると
ゆっくり腰を下ろす。
彼はもう動く事もしなくなった。

「ぁあっ」
身体の中を貫く熱い感覚に、顎を上げ、天井に向かって声を出してから、
胸に手を置いて息を付く。
残りをもう少し。。。
「ぁあああ」
自分の恥ずかし気のない声が部屋に響き、
ワタシが彼を全て包み込んだとき

彼の胸の奥から熱い吐息が「はぁああっ」と流れ出た。

すると、彼はもう抑えられなくなったようで
私の腰を力強く掴んだ。
そして、私のことをお構いなしに激しく上下に動かす。

私の身体は彼の指に握りしめられて、自分では動けない。
この年下の彼に自由を奪われてしまった。

彼の指が私を締め付け
ワタシが彼を締め付ける。

がんじがらめになってる二人。

はぁはぁと真っ赤な唇から息を吸い
子供のようなまんまるな頬を桃色にしてる彼を見下ろす。

スカーフをしていて、目が見えないのは残念。
だけど、
こんなときに彼の瞳なんか見てしまったら恋に落ちてしまうから。。。
よかったとほっとしてしまう。

私の声が消え、心がここに無いのを感じたのか
彼がさっきより激しく私を動かし、リズムよく腰を

突き上げた。

かわいらしさに似合わない男らしい固い肩を掴み、波に飲まれるものかと耐える。
あの繊細な指が
自分の腰に食い込み、

痛みさえ感じると

もう私は、私でいられなくなった。

もう無理。。。


真っ白になった自分の中に
彼の真っ赤な血が注ぎ込まれた。





私は少し汗の匂いがする彼の胸に頭を乗せ
彼は肩を抱いてくれてた。

ごつごつしてて男らしい彼の筋肉。

かわいくったって、細くたって彼は男だ。
守られてる気がするもの。

そんなことを考えてる私の背中を柔らかく撫でてた彼の手。
なのに、少し指の動きがぎこちなくなった。
あ。。何か考えてる
賢者の時間がやってきたか。

私は身体を持ち上げ、スカーフを外してから初めて彼の瞳を覗き込んだ。
でも
彼は天井を向いたまま、私を見ない。
やっぱりね。

「どうしたの?ふふ、まずいことしたと思ってるんでしょ」

するとはっとして私の瞳を見つめた。
図星。
男なんてみんな同じ。
彼は何を隠さないといけないのか。。。
そんなこと知りたくもない。
後ろめたいものがない男なんて、刺激も無いしね。

「大丈夫、誰にも言わないよ」
私はわざとあっけらかんと言った。
「おねえさん、本当においらのこと知らないんだね」
彼は不思議だと私を見つめてから、にこっと目尻を下げた。
「なんで?君はそんな有名人なの?」
「いや。。。」
「なに?気になるじゃん」
「いや。。。知らなくていいよ」
彼が視線を天井に向けた。
これ以上話すのもまずいのかな。

「ふふ、もし君がどこかの王子様で、私がそれを知ったとしても、このことは墓場まで持ってくよ」
私は小指を出した。
そして、「墓場まで持ってくことばっかだ」と呟く。
すると彼がにっと歯を大きく見せて笑い
「俺もそうだな」と言うと
あの細くて長く見える小指を突き出し、私の小指に一周させた。

「ゆ~びきぃ~り、げぇ~んまん。う~そついたら、はりせんぼんのぉ~ます、ゆびきった」
変な節を付けて歌う彼の声。
透き通った声は部屋に響き、もう一回歌ってと思わず言ってしまいそうになった。


本当に綺麗な声。。。

すると、私の小指を放した彼が、手をそのままベッドの下に伸ばし、
ズボンのポケットに入ってる携帯を取り出そうとした。

そして、「おねえさん、また逢える?」
彼の言葉に、嬉しさでどきんと胸が大きく打った。
でも、やっぱり。。。

「ん。。。やめとこ」
私は、強引に微笑んだ。
すると彼も、眉を下げ残念そうな顔をしてから
「そうだよね」とにこっと笑ってくれた。

やっぱり、今夜で終わりがいい。

その後くだらない話をして、私達は眠りに付いた。









朝の薄暗いホテルの部屋の中
目の前の彼がごろんと仰向けになった。
朝の元気なカレに恥ずかしくて目を逸らす。


このまま何を期待するわけでもないし。
彼が目覚めるまでここに居たら、お互い気まずくなる。
誰にも言わないと約束したしね。


私はそっとベッドを降りた。
自分の身体からふわっと彼の匂いがした。
彼が身体に染み付いているけれど、シャワーを浴びずにこのまま帰ろう。
起こさないように、そっと準備をする。


彼とはもう一生逢わないだろう
顔も見ないだろう。

この整った顔に、この風貌。
一体何をしてる人なのかわからないけれど
一夜の楽しみでいい。
私は彼の側に落ちてる冷たくなったスカーフを拾い上げ、
ぴんと伸ばしてから、首に巻いて、さっと身なりを整える。
全く化粧気はないけれど、
まるでここに商談にでも来たような顔を貼付ける。

これでよし。

じゃ、君。
私は帰るね。

この可愛い顔、もう二度と見られないのかな。
そう思って振り返った
最後に見た彼の寝顔はかっこよくて、このまま帰るのが惜しくなったけれど、
ダメだよ、もう悲しいことはこの歳にはつらすぎると自分に喝を入れた。

泣き顔だって、カッコ悪いし
もう腫れた目なんて、誰もかわいいなんて言ってくれないもの。

ここでさようなら。

じゃあね。
素敵な、名前も知らない君。

彼の寝息と一緒に、胸の上でゆっくり上下してる彼の指を最後に見ながら
ゆっくりホテルのドアを閉めた。




朝靄の煙るタクシーの車窓。
朝帰りだなんて、久しぶり。
でも、なんだか肌が潤ってるんだよね。
火照る自分の頬を撫でた。


いつもはぐちゃぐちゃと蟻の大群のように人が歩く交差点の赤信号で車が停まった。
今は人はまばらで、人間がいないとこんな光景なんだと窓に顔をくっつけ外を覗く。

いつもなら見過ごす巨大な広告に目が止まった。

あれ?
あの瞳。。。

あ。。。

ふふ。そういうことか。。。

「君にはここで逢えるんだ」

私は、
こっちを向いて笑ってる君に微笑み返した。

まだ残る君の香り、そしてこのスカーフ。


「大丈夫、私はあの指切りを忘れないから」
巨大な彼の小指を見て呟いた。

車ががくんと動き、君はもう私の方を向いていなかった。



テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

パズドラワールドの征服 2nd STAGE




黄色い光がこの基地の心臓部の部屋に駆け込んで来た。
それを追う、もう一つの黄色い光。

ニノは、その部屋に入ると「うわぁ」と驚きの上げた。
大きなコンピューターが中央に備え付けられた巨大なコントロールルーム。
ニノは偽ニノの背中を見つけると
「何をしてる」
コンピューターキーボードをものすごい早さで叩いてるその後ろ姿に叫んだ。

「。。。」
偽ニノがゆっくり立ち上がって、にやりと笑った。

「何をした」
ニノが震える声で、コンピューターを指差した。
「余裕を持って。。。3分にした」

「どういうことだっ」
真っ赤になって怒鳴るニノ。
「ここを爆破するまで3分」


「お。。。お前ー」
「爆破解除するのは俺しか出来ないからね。俺が残ればメンバーは助かるんだよ」
偽ニノがくくくっと手の甲を口に当てて笑う。


「くそっ。どうやったら、解除出来るんだよ」
ニノが一歩前に出て睨みつける。
「そんなこと簡単に教えるお前じゃないだろ。ふふっ。バカだなぁ」

「くそっ。吐き出させてやる」
ニノは偽ニノに体当たりした。

黄色い光が何度も火花を散らす。

もうどっちが本物なのか偽物なのかわからない。

「解除方法を教えろ」
今、上から押さえ付けてるニノが腹の底から声を出す。
「ふふ、お前の大事なものがパスワードってことだけ教えてやるよっ」
下のニノは両手両足で上のニノを投げ飛ばす。
尻餅をついて床に転がるニノは、手足を使って跳ね上がり
また偽ニノに襲いかかる。
その後も
力で押し合ったり、ぶつかり合ったり。

「教えろ」
「もう一つだけヒントをやるよ。お前の存在理由だな」

「はっきり言え」
「バカじゃないの?言えるわけないだろ」

秘密の暗号を探りながら戦う二人。
焦る本物のニノに、余裕の偽ニノ。

本物のニノは汗だくで、声も出ないほど呼吸も乱れてる。
偽ニノは疲れることなどないから、長期戦になると有利なのだろう。
余裕の表情でニノの攻撃を交わす。


ドン
ドアが開き
翔と雅紀が潤を支え、リーダーが足を引きずりながらこの部屋に入って来た。

「ニノっ」

「パスワードを言え」
「言えるか」
ニノ二人の声が響いてる。

翔が画面に大きく表示された時間を見て
「え?爆発まであと2分?」と大きな声で叫んだ。
「爆発?」
「なに?ここが全部爆発?」
それぞれに驚きの声を出す。


4人の声で、戦ってるニノ2人の集中力が乱れた。
隙が出来たのを見ると、もう一人のニノが突撃して、
二人一塊になり後ろの大きなスクリーンに飛び込んだ。
黄色に光る2つの武器は4人の足元に持ち主を無くして転がる。

細かいガラスをまき散らしながら、粉々に吹き飛んだスクリーン。

すぐに火花と、炎と煙が上がって、小さな爆発も数回聞こえた。
「にのっ」
4人がニノの飛び込んだ先に近づくと
また大きな爆発音がして、真っ黒な煙の塊がその中から部屋に広がった。
「うわっ」とみんなが顔を背けてから、
薄れた煙が流れて行くのを確認し、前を見た瞬間
ニノがその瓦礫の中からゆらりと現れた。
身体が煤だらけになっていて、爆発の激しさを物語る。
「ニノ?」
4人が駆け寄る。

「うん。あいつは消えたよ」

彼は煤だらけの顔でにっこり笑う。

翔が
「早く逃げよう、後1分で爆発だ」

カウントダウンしてる別の時計を見て大きな声を上げた。

すると、ニノがコンピューターに向かって走りながら
「今から逃げても間に合わない。でも任せとけ」
キーボードの前の椅子に座った。


そして手慣れた手つきでかちゃかちゃっとキーボードをタイプしている。

「できたぁ」

カウントダウンしていた数字が止まり、鈍い音と共にスクリーンが真っ暗になると
『起爆装置解除』の文字が大きく画面に出てから、細かい文字が流れる。
ニノが画面の文字を読んでから
「とりあえずの爆発は免れたよ」
みんなを安心させた。

息を止めて様子を伺っていた後ろの4人が
「よかったー」大きな声を上げた。

「おっと」
雅紀は腰が抜けそうになってる翔の身体を支えた。
潤と智は肩を叩いて喜び合ってる。
ニノは満足げにみんなを見て微笑む。

「助かったな。これもニノのおかげだな」
翔が身体をまっすぐに戻しながら煤だらけのニノに
「な、さっきの暗号はなんだったんだ?」
と尋ねた。

「簡単なものだったよ」
ニノは得意げな顔で胸を張って、にやりと笑う。

「なんだよ。教えろよ」雅紀がニノを突く、
すると、ニノは

「ARASHIだよ」

「はぁっ?」
みんなの声がハモり、信じられないとニノを見つめる。

「誰でもわかるよな」

ニノがあははと笑って、さっき偽ニノと自分が壊したスクリーンの残骸に目をやった。

潤が「答えを偽ニノから訊いたのか?」と尋ねた。
するとニノは「いや、始めのヒントですぐにわかったよ」
当たり前のことのように言った。

翔も、雅紀も「ARASHIってなあ」呆れて顔を見合わせた。

「じゃ、早くここを出ましょう」ニノがみんなに声を掛けた。

するとリーダーが「ニノ?」爆発で汚れたニノの肩に手を置いた。

「何ですか?」にっこり笑うニノ。
二人の瞳が交差し、ほんの一瞬リーダーの瞳が揺らいだように見えた。

すると、リーダーは、何も言わずに
自分の槍に両手を当て、
青い光を弧のように描いて目の前のニノに振り下ろした。

驚いた顔を残し、ニノは黄色い煙と共に消えた。


3人はただ目を丸くしてリーダーを見つめてる。


驚いて何も言えない3人に
「笑顔がね。。俺の知ってるニノじゃなかったから。。。」
と言い訳して、頭を掻いた。
「でも、そんなことで。。。」翔がさっきニノが立ってた場所を見つめる

「それに。。。俺に早く帰ろうって言わないから」
そう笑うと照れを隠すように真面目な顔を張りつけ
「本物のニノがどっかにいる」
さっきの瓦礫の中に飛び込んで行った。

ワイヤーが絡み、ガラスが散らばる中に黒い塊が転がってる。
「ニノっ。大丈夫か?」
リーダーが倒れてたニノを抱き起こす。

瞼をゆっくり開けたニノが目を細め、
リーダーの腕の中だとわかると安心して微笑んだ。
そして、はっと息を飲んで
「あ、リーダー、早く逃げよう。時間がない」と立ち上がろうとしたけれど、
リーダーはニノの肩をそっと掴んで、もう一度自分の腕の中に押し戻した。
「いや、偽ニノが、本物のフリして爆破の解除してくれた」
「なんで?」と言いながらも、ニノはほうっと力を抜いて
「どうせ、ARASHIとかとんでもなく簡単な暗号だったんだろ」
と鼻で笑った。
「なんで?」今度はリーダーが驚いてる。
そのリーダーの顔を見て「で、倒してくれたんだよね。ありがとう」微笑んだ。

煤で汚れてる頬がニノをいつもよりかわいく見せる。
彼の頭脳の鋭さに驚いてるのか、ニノの笑みに戸惑ってるのか、
リーダーがそこで凍ったように動きを止めてしまってる。

残りの3人が後ろで大笑いをした。

ニノは手を伸ばし、リーダーの鼻に付いてる煤を親指で拭い取ると、
リーダーははくすぐったそうに、肩を捩って笑ってる。

そしてニノは
「早く帰ろう?」と優しい笑顔を見せた。

リーダーは頬を赤くして「うん、帰ろう」返事をしてから、
ニノの唇に指を当てた。
きっと後ろの3人には、汚れを落としているように見えただろうけれど、
ニノの唇は赤く艶やかに輝いていて、煤など付いていなかった。


『ぴーん』
突然、基地の内部の電気が全て点灯し、皆が手で目を覆う程部屋の中が明るくなった。

目が光に慣れると「なんだ?」状況を把握しようと周囲を見回す5人。
そして、目の前のスクリーンに、

『REAL ARASHI 5/CLEAR』
の文字が出て来た。


「これで帰れる。。」
誰かが安心した声を出した。


すると、画面の文字が変わり


『TO THE FINAL GAME』
言葉が現れ、矢印が一つのドアを差していた。


「ええっ」
5人が大きな声を上げる。



「またぁ?」
ニノとリーダーの声が一つになって聞こえた。


「ゲームはこれからだ。。。こういうことか」

翔がため息をつきながら言った。

「もーやだよー」
雅紀の声。

「でも、次に行かないといつまでたってもここから出られない」
潤が覚悟を決めたように言い聞かせた。

「最後のゲームだ。みんながんばろう」
ニノがリーダーの腕の中から立ち上がり、リーダーもニノの隣に並ぶ。



矢印が差してるドア。
その前に5人が並びそのドアをじっと見つめてる。

誰かが「行こう」と言うのを待っているのか、覚悟を決めているのか。
誰も動かない。

すると、
リーダーが一歩前に出て、「次はどんなだろう」と呟いた。
翔が「一人で開けちゃダメだよ、怪物でもいたらどうすんの」ビビった声で言う。

「大丈夫だって、見るだけ」
リーダーはドアを少し開け、片目だけで覗き込もうとした。
それを見守る後ろの4人。
ニノも一歩出て、リーダー背中に手を当てて、中を覗こうとすると


聞き慣れた曲が流れてきて、
中を覗いたニノが吹き出す。

3人は驚いた顔で「なに?」とドアに駆け寄り、あははと笑い出した。


「やっぱり最後はパズドラかよ」

ニノが勢い良くドアを開けると
そこは。。。。


色とりどりの卵がごろごろした世界が広がっていて
かわいいモンスターが飛び跳ねてる。

「楽しそうだな、リーダー行くよ」
ニノがリーダーの手を繋いで、張り切って中に入って行った。
潤も
「ニノには負けない」と言いながら後を追う。

「翔ちゃん行くよ」
雅紀が「ゲームなんかわかんない」と戸惑ってる顔の翔の腕を取って引っ張る。
「教えてやるから、大丈夫だって」
翔を引きずるようにして、原色の世界に入り込んで行った。


5人の楽しそうな笑い声がドアの向こうで広がっていた。










☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*






嵐なら5人で力を合わせて、
どんな敵も倒してくれます。



BE MORE ORIGINAL

もっと自由に
自分の力を信じて行け。




そんな意味が含まれてるはず。



そして、

彼らの5X20に向けて

ゲームは始まったばかり。。。。

テーマ : BL小説
ジャンル : 小説・文学

パズドラワールドの征服 1st STAGE

パズドラの記事を上げてから
あの後はどうなったのか、ずっと考えてました。
パズドラワールドの征服

ゲームは始まったばかり。。。


じゃ、次は?

というわけで
妄想屋さんの独り遊びです。
そして、私の初めての挑戦。


エイプリルフールの今日と、明日
戦う嵐のお話で、異次元の世界をお楽しみください。





☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*



紫の球を揺らしながら潤が前を見据えて先頭を歩く。

地下基地の薄暗い廊下では、彼らの武器だけが唯一の明かり。

「あいつら、よわすぎ」
雅紀が緑の光に浮かんだ身体でぴょんと跳ねて、翔の前に飛び出した。
「まだこれからだから、気を引き締めとかないとな」
赤い靴は二人の歩く先を照らす。

リーダーとニノは少し遅れて寄り添って歩く。
「リーダー、それ武器だから杖にすんなよ」
「だって、疲れるもん」
のんびり散歩でもしているような二人に緊張感はあまりない。
時々黄色い光がリーダーのお尻に当たるのが見え、
くすくす笑い声まで聞こえる。

暗い廊下の先に『NEXT STAGE』と書かれたサインが彼らを呼んでいた。

彼らの表情に緊張が走り、大きく息を吸って背筋を伸ばす5人。

「さ、ゲームスタートだ」
ニノが黙ってしまったみんなの士気を上げるように、明るく声を出した。
雅紀も「楽しみ」と言ったけれど、声が微かに震えている。
すると翔が彼の肩に手を置き
二人の視線が絡むと、雅紀は目尻を下げ細めてまた瞳に力が宿った。

大きなドアの前に5人が並ぶと、翔がリーダーの顔を見て促す。
「あ、ああ。。えっと。。行くぞ。この5人なら、できりゅ。。。あ。。」

「ぷっ。噛むなよー」
みんなリーダーを見て吹き出す。
「肝心なときにダメなんだもんなあ」
ニノに言われてリーダーは「すみません」と頭を掻いた。

でも、リーダーはまた顔を引き締めると
「ここからは本気の嵐を見せるぞ」
腹の底から声を出した。
4人はゆっくりと視線をドアに移して頷く。

「行くぞ」
5人同時に大きなドアを押し開けるとそこは薄暗い空間。
中央はライトで丸くステージのように照らされていて
そこに吸い寄せられるように一歩ずつ足を踏みしめ近づく彼ら。
足音だけが、広く遮るもののない空間に木霊する。

電流が流れる低い音がして、光のステージの向こうに
5色の光が灯った。

足を止めた5人。

「遅いじゃないか」
暗闇から潤の声がした。はっと息を飲む潤。
「あんな奴ら、嵐の5人だったら1秒で倒せるだろ」
ニノの声まで聞こえる。

こっちのリーダーとニノが顔を見合わせた。
向こうの5色の光がこちらに近づきステージの明かりの届くところまで進む。
そこには、やはり自分たちと同じ姿の5人
持ってる武器も同じ、顔も姿も。

でも、その敵の姿を予想していたのか5人の顔には苦笑いが浮かんだ。

「これがリーサルウェポンだな」ニノが呟き
「ラスボスだよ」雅紀が困った顔で笑う。

一対の嵐がステージを挟んで対峙する。

さっきの戦いで自信を付け、余裕のある本物の5人。
戦いの兵器として開発された5人。

並んだ偽の5人の中から赤い靴を光らせた偽翔が、一歩前に出て
「俺達は最新データから作られた、君たちと全く同じ力を持つサイボーグ。
その上、痛みも感情もないから。。。ふふっ。君たちより優秀だよ」

本物の翔も畏れるような、悪意に満ちた顔で笑った。
まるで自分が世界で一番だとでも言っているような表情。

そしてその後ろにいた偽ニノが
「偽物だろうと本物だろうとここを出たものが嵐になる。楽しみだな」
と首を傾げ、本物のニノを挑発するように口元を上げる。
残りの3人からも
自分たちが勝つのが当たり前という自信が漂う。

余裕だった本物の嵐に焦りが見え、潤が武器を握る手に力を入れた。
その両側にいたリーダーと翔が、潤の怒りに気がつき
彼の肩に手を置いて、落ち着けと呟き頷いた。
潤は左右で見守る二人と目を合わせてから、大きく音を立てて息を吸い込んだ。
4人の視線は潤に注がれる。

潤は、みんなの注目を浴び一歩前に出る。
後ろの4人は何も言わずに潤の様子を見守るだけ、
言葉を交わさずとも気持ちが通じているし、仲間の力を信じられる。
潤だって、自分がどんな無鉄砲なことをしても
みんなは付いて来てくれるという自信で、エネルギーが漲っている。
そして後ろの4人も彼を守ろうという意志を感じる。
偽潤も一歩出て来た。

「本物の嵐は俺達なんだよ。そこの偽物。一対一で勝負だ」
潤が叫んでから、後ろに並んでいる仲間の4人に
「手出しはしないでくれ、俺と俺の戦いだから」
と言ってから、ゆっくりと紫の球の武器を揺らし始め、徐々に大きく丸く振り回した。

偽潤は、本物の潤の情熱をバカにした顔でにやりとすると
冷たく「勝てると思ってるんだ」と呟いて同じように武器を振る。


紫の球を回す二人が睨み合って、
間合いを詰める。
風を切る音だけが空間に響く。

一人が横に一歩踏み出すと、相手は反対側へ身体を移動させる
丸く円を描くように、二人は同じ距離を保ったままゆっくり動く。
同じ服を着ていて、どちらかわからなくなりそうな中
じりじりと間合いを詰めてた方が腰を落としてカンフーのような型を見せた。
一方の潤の瞳が灰色になってから
「何だ?俺のプログラムにはないぞ」と呟いて一歩下がった。
「この間から、コンサートで使えそうだって思って、密かに練習してたんだよ」
潤が隙のない構えを取った。
後ろの嵐4人が「コンサート?聞いてないぞ」とぼそぼそと話をしてる。

潤はちらっと視線を後ろに動かすと
「そんなこと後で説明するよ。俺はそれどころじゃないんだから」
すると、相手が紫の球を大きく振りかぶった。
「危ないっ」
嵐4人の声。
でも、潤はそれを軽く交わして、また腰を低くした。
気合いを入れる小さな息が聞こえると
潤の紫の光は、瞬きする間に見過ごしてしまうほどの速さで攻撃し、
大きな光の弧の残像を暗闇に描いた。

偽潤にそれが当たる瞬間、相手も同じように球を投げつけた。
互いの光の球が乱れ、散り散りに跳ねる。

偽潤の球も潤を擦り、避けようとして飛ばされたけれど、
本物の力強い攻撃がほんの一瞬早く、破壊力があった。

偽物は紫の煙と化し、残ったのは壁にもたれる本物潤だけ。

「大丈夫か?」4人が潤に駆け寄る。
潤は心配そうに見下ろす仲間に
「今度のコンサートは、かっこいいものになるよ」と笑うと目を閉じ
床に横になってしまった。

「仕事のことを心配してるから大丈夫だろ」
リーダーが言ったその瞬間。

偽智が青い槍を持って暗闇の中へ走り出した。
「あいつは俺がやる」
とその光を追う智。

ニノも自分と同じ顔の相手と視線を合わせると、黄色い光を両肩に担いでゆっくり彼に近づいて行き、睨み合ったまま歩き去った。

残された緑と赤の光
「いくら、悪いヤツでも自分と戦うのなんかやだよ」
雅紀が小さく呟くと、隣にいた翔が
「雅紀は雅紀にしか倒せないから、後で会おうな。危なかったら呼べ」と
赤い光と火花を散らして離れて行く偽翔を追って走り出した。

それを見送った雅紀はさっきまで目の前にいた自分の相手を探そうと辺りを見渡した。
でも暗闇に見えるのは青、黄色、赤のライトのみ。
周囲に自分の相手がいないのがわかると、ほっと息を吐いて
潤の隣にしゃがみ込み、緑の円盤の光を落とした。

「きゅーん」と音がして周囲が闇に包まれる。
遠くではリーダーや、ニノが戦っている光が見えている。
どの対戦も、スピードも力も互角の戦い。

「自分と戦うってさ、どんな気分だよ」
気を失ってる潤に話しかける雅紀。

2本の赤い線が、まっすぐ、そして時々波打つように視覚に残る。
その2つの光を見つめてる雅紀の視線の先を微かな人影が横切った。
戦っている翔からは見えない場所で暗闇に潜む影。

敵?
呟いて雅紀は息を潜める。

赤く光る靴が滑るように近づいては、火花を散らして離れる、その二人の翔を狙っているように近づく影。

「本物の櫻井翔は俺だからな」
「本物だろうと偽物だろうと、勝った方が嵐ってことだ」
そんな台詞が聞こえてくる。
雅紀は立ち上がって、その人影に静かに忍び寄った。

また赤い光がものすごい早さで近づいて、今度は辺りを白くするほどの大きな火花が散って二人共投げ飛ばされた。
そして、翔の一人が、影の立ってる近くに飛ばされて来た。
その翔が肘を付いて身体を起こすと
「偽物ったって、俺と同じ機能なんだから簡単には勝てねーな」
と小さく声を出した時

「くくっ」その暗い人影から嬉しそうな笑い声が溢れた。
雅紀が「あ。。偽の俺」と呟いた瞬間
その人影は緑の円盤の光を背後で付け、赤い光に気を取られてる翔に振るい上げた。

「翔ちゃん、危ない」
雅紀は全身がバネになったような高さでジャンプして、偽の自分を背中から蹴り倒す。
不意をつかれて、偽雅紀が床に激しく頭をぶつけた音がした。
雅紀は、緑に光る武器を持ったまま倒れた偽の自分に近づいた。
機能を無くして灰色の目で横たわる偽雅紀、本物の雅紀はそれを悲しそうな顔で見下ろす。
偽物の痛みを、自分の痛みとして感じているように苦しそうに顔が歪む。

でも、目が力強く開かれ、手にしてた緑の円盤の光を付けた。
「仲間は俺が守る」
彼がそう声を出したとき、
足元に倒れていた偽物の目にも精気が戻り、倒れたまま雅紀の足を掴もうとした瞬間、
本物雅紀は憎しみの籠った顔で力一杯円盤を振り下ろした。

緑の煙が広がる。

「雅紀ありがとう」
倒れてる翔が声を掛けると、どこからともなく滑るような赤い光が雅紀の背後に近づいた。

「あぶないっ」
翔の声で、雅紀は咄嗟に円盤をかざしたけれど、偽翔の赤い靴は緑の円盤を壊し
雅紀は爆破の勢いで吹き飛ばされた。
赤い靴の偽翔も衝撃で激しく壁に叩き付けられてる。

「雅紀っ」

「翔ちゃん、俺よりあいつを」
弱々しい雅紀の声だけれど、大丈夫だと確信したのか大きくうなずく翔。
「わかった、待ってろ。まずこいつをやっつけるから」

雅紀を倒された怒りからか、顔が赤くになって首の筋肉と血管が盛り上がる翔。
彼は赤い靴を光らせ、壁にもたれて立ち上がろうとしてる偽の自分に近づいた。

「メンバー。。いや、雅紀を傷つけるヤツは、どんなヤツでも許さない」

怒りの籠った太い声。
翔は赤い靴で、偽翔を憎しみを込めた力で蹴り上げるとその身体は人形のように宙を舞って床に転げ落ちた。
翔は無表情で、意識を失った偽物に近づき
足をおおきく振りかぶって、自分と同じ姿の敵に最後の一撃を与えた。

赤い煙が広がった。



同じ時、別の場所で。

青い光は、じゃれるようにぶつかっている。
相手の動きを全て読んでる余裕の動きの二人。
笑い声が聞こえて来そうな戦い。

そこへ、ニノと偽ニノが黄色い光でぶつかり合い、
絡まりながら近づいて来た。

「リーダー、そんな偽モノなんか早くやっつけちゃいなよ。遊んでる場合じゃないんだよ」
ニノが、相手の光を避けながら言う。
すると偽ニノが
「早く倒せるわけなんかないだろ」
鼻で笑って返事をした。

「俺の智が秘めてる力は、すげーんだよ」

ニノはそう言い返してから、押し合ってた黄色い光に力を入れ
偽ニノを後ろに突き飛ばした。
尻餅を付いた偽ニノを見下し、ふっと笑ってから
「リーダー。こいつにも見せてやれよ」と顎で合図する。

「えー、もうちょっと遊んでたかったのに」
リーダーの声がして、
「俺も楽しかったのに」と同じ声が聞こえた。


「リーダー。早く帰ろうぜ」
ニノの声。


「わかったよ、ニノ」
すると、1人の青い光の槍の動きが急に速くなる。
偽物が付いて来れないスピードになって、どちらが優位か遠くから見てもわかる。
本物の智は壁を蹴って、槍に勢いを付けると風を切って振り下ろした。
刃先が偽物の髪に触れ、切られた髪が宙を舞った。

「ほらな」
ニノはまるで自分のことを自慢するように言って、青い光に意識を取られてる偽ニノを回し蹴りした。
仰向けになって倒れ、機能が停止したのか、灰色の目になってる偽ニノ

するとその時、青い光が平行線のように交差して

青い煙が広がったのが見えた。

「リーダーお疲れー。俺もそろそろ」
まだ床の上で倒れてるニノをまたいで立ち、黄色の光を振りかぶり、突き刺そうとした時、偽のニノの目に光が戻り、下から蹴りを入れた。
「うわっ」
ニノがリーダーの足元まで吹き飛んだ。

「いってー」
腹を抱えて踞る。
リーダーは、足元に転がって来たニノを抱き起こし
「大丈夫か?」心配そうに顔を覗き込む。
「ああ。。。このぐらい。。。あれ?あいつは?」
偽ニノは武器の光を消し、闇に紛れてしまった。
その気配を追い、二人で暗闇に目を凝らして窺う。

すると、偽ニノは黄色い光を遠くに灯して駆け出した。

「待て、どこへ行く」

ニノがリーダーの腕の中から立ち上がって、勢い良く後を追った。

「ニノ。待て」
リーダーも追いかけようとしたけれど、
「いてっ」
さっきの戦いで足を挫いたことを今気がついたようで、もう一度座り直し、
足を庇ってゆっくり立ち上がると
「ニノ、一人で行くなっ」
ニノの走り去った方に、壁を伝いながら向かって行った。




to be continued.


こんなの面白いのか。。。
よくわかんないけど明日で終わります。

See you tomorrow.

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5色の誕生石

宝石についてです。

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